こんにちはヨシキです。皆さんはチェーンを交換する時、シールチェーンとノンシールチェーンどちらを選んでいますか?
もちろん純正でシールチェーンが装着されている車両であればシールチェーン一択なのでしょうが、そうでないバイクはどちらがいいのか悩んでしまいますよね。
“コスパが良いノンシールチェーンにするか、それとも性能重視のシールチェーンにするか”
今回はそんな疑問を整備士ヨシキが解決していきます。結論から言ってしまえば、どちらを選んでも大きな差は出ないのですが、せっかくならそれぞれの違いをしっかり把握して、自分に合うチェーンを選んでくださいね。
シールチェーンとは
まずはシールについて新ためて確認しておきましょう。シールチェーンとは、チェーンを繋ぐピンとブッシュの間にグリスを封入し、ピンとブッシュの異常磨耗を低減したり、チェーンの動きを滑らかにすることを目的としたチェーンです。
チェーン内部の摩耗が減ることでチェーンの寿命が非常に長くなり、耐久性も向上する為、最近のスーパーバイク系にはシールチェーンが純正で採用されている車両も多く見かけるようになりました。
ノンシールチェーンとの違い
一方、ノンシールチェーンはピンとブッシュの間にグリスを封入していない、スタンダードなチェーンです。オフロードバイクや軽量級のバイクに多く使用され、コストパフォーマンスが良く、軽量なチェーンです。
しかし、シールチェーンに比べると内部の摩耗スピードが速く、走行距離に比例してチェーンの伸びが発生。マメに調整が必要な上に寿命が短いことが難点です。
サイズさえ合えばチェーンの種類は車種問わず自由に選べる
ちなみに、チェーンの種類はサイズさえ合えば車種問わず自由に選べます。なのでシールチェーンからノンシールチェーンに、もしくはノンシールチェーンからシールチェーンへの変更は非常に簡単です。
但し、排気量によってはチェーンサイズが合っていても耐久性的に互換性が無い場合もあるので、チェーンメーカーが出している車種別適合表の確認も併せて行うことをおすすめします。
また、車種別適合表には、対象車種の適合商品がすべて出ています。サイズを調べなくてもどのチェーンが使えるのか一目でわかるので是非利用してみて下さいね。
どうしてもチェーン単体からサイズを知りたいひとへ
どうしてもチェーン単体からチェーンサイズを知りたいというマニアックな方のために、サイズの測り方もご紹介しておきましょう。
チェーンサイズは基本3ケタ数字で表記します。1ケタ目はチェーンピッチ、2ケタ目と3ケタ目が内リンク幅をそれぞれインチで表記しています。
なのでチェーンピンの幅と内リンクの幅を測ればサイズが分かります。測定には“ノギス”のという専用のモノサシが必要ですが、チェーンサイズを測定しなければならないというときは準備して測ってみて下さいね。
シールチェーンのメリットとデメリット
耐久性に優れ、常に安定したパフォーマンスを発揮してくれるシールチェーンですが、それぞれメリット・デメリットがあります。純正ノンシールチェーンからシールチェーンへ変更を考えている方は是非メリットだけではなくデメリットについても知っておきましょう。
メリット
シールチェーンのメリットといえばやはり耐久性。ワインディングロードやサーキットをよく走行し、バイクに負担をかける乗り方をする方にはシールチェーンはかなりおすすめです。
チェーンの伸びも少なく、メンテナンススパンが長くなるのも利点ですね
デメリット
反対にシールチェーンのデメリットは価格の高さと重量増。シールチェーンはノンシールチェーンよりも価格が高く、グリスの分重量も重くなります。
軽量級のバイクだとこの重量増がネックとなり、パワーダウンを感じたり、きびきびした走りができなくなることもあります。
とはいえ、街乗りレベルでその差を感じることはほぼないと思いますので、それほど大きなデメリットとは言えないでしょう。
シールチェーンとノンシールチェーンを比較してみた
では実際にシールチェーンとノンシールチェーンの違いを比べてみます。
価格面
シールチェーン | ノンシールチェーン | |
価格 | 高い | 安い |
価格面に関してはノンシールチェーンの方が圧倒的に安くて、お得です。しかし、長期的に見るとシールチェーンの方が長持ちでコスパが良い場合もあるので、“とにかく安く”という方にはノンシールチェーンがおすすめです。
機能性
シールチェーン | ノンシールチェーン | |
フリクションロス | 多い | 少ない |
重量 | 重い | 軽い |
シールチェーンの最大のメリットは耐久性。そのため、チェーン同士の摩擦抵抗であるフリクションロスはノンシールチェーンの方が少なく、重量も軽くなっています。
これだけ見ればノンシールチェーンの方がシールチェーンよりも優れているように見えますが、ノンシールチェーンは劣化が早いので、最高のパフォーマンスを発揮できる期間はとても短いのが難点です。
オフロードバイクなど、そもそも過酷な環境で使うバイクであれば、チェーン寿命はそれほど変わらなくなるので、ノンシールチェーンを使うのも悪くないかもしれません。
耐久性
シールチェーン | ノンシールチェーン | |
耐久性 | とても長持ち | 走るほど劣化する |
耐久性に関してはシールチェーンの右に出る者はありません。チェーン内部に入れられたグリスがチェーンの摩耗を防ぎ、長い間高いパフォーマンスを発揮してくれます。
街乗りがメインのストリートライダーの方ならフリクションロスなんかよりも長く使えるパーツの方がありがたいですよね?
設定があるならシールチェーンへの変更を検討してみてはいかがでしょうか。
ライダー別オススメのチェーンの選び方
どのチェーンが最適な選択になるのかはライダーによってさまざまです。たくさん乗る人、マシンパワーを大事にしたい人、高性能パーツが好きな人など、乗り方によって選ぶべき選択肢は異なります。
チェーン選びに悩んだら、自分がどのタイプのライダーか考えてみると、自分にピッタリの選択ができるはずですよ。
年間の走行距離が少ないサンデーライダーにはシールチェーンがおすすめ
年間の走行距離が少ないライダーにはシールチェーンがおすすめです。シールチェーンはノンシールチェーンと違い、ピンが固着しにくく、たまにしかバイクにならない方でもチェーンが痛みにくい構造です。
あまり乗らないから、とノンシールチェーンを選んでしまうとすぐにチェーンが固着し、寿命が短くなってしまう可能性があるので、シールチェーンの方が良いでしょう。
小型車にはノンシールチェーンの方がパワーロスが少ない
小排気量車や原付など、エンジンパワーが小さい方にはノンシールチェーンの方がパワーロスが少なくなります。
もともと、シールチェーンは大排気量バイクが耐久レースで勝つために作られたのが始まりです。そのため、軽量バイクのとの相性はあまりよくなく、グリスとグリスの漏れを止めている“シール”がチェーンの動きを妨げ、パワーロスをしてしまいます。
小排気量バイクで、少しでもパワーを上げたいと思っている方にはシールチェーンはあまりおすすめできません。
純正でシールチェーン採用車にはシールチェーンを使おう
純正でシールチェーンが付いているにも関わらず、値段が高いからという理由でノンシールチェーンに変更するのはやめておきましょう。
耐久性を考慮してメーカーがチョイスしたシールチェーンをノンシールチェーンに交換するのはデチューン以外の何物でもありません。
純正かそれ以上のチェーンを使いましょう。
一概にシールチェーンだけが優秀だけとは限らない
耐久性に優れるシールチェーン。しかし値段が高価であったり重量が重かったりとすべてのバイクにマッチするわけではないのが難しいところ。
高いからといってシールチェーンが優秀であるとは限りません。大切なのはバイクの性能と、自分の乗り方にマッチしたチェーンを選ぶ事です。
チェーンのグレードダウンはおすすめできませんが、大排気量車や耐久性重視の方はシールチェーンへの変更を検討してみるのもいいかもしれませんね。
投稿者プロフィール
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元モトクロス国際B級ライダーのヨシキです。
趣味は林道探検、オフロードバイクでどんな山道も散策します。
今は整備士として活躍しているので、メンテナンス、DIYでできる整備など、お役に立てる情報を発信していきたいと思います。もちろんレーサーならではのライテク記事も執筆していくのでおたのしみに。
【愛車たち】
SUZUKI RM-Z250,HONDA CR125,SUZUKI RM80L
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