バイクのハンドル操作を意識したことがありますか?
こう聞かれて常に意識して走っているライダーはそう多くないでしょう。けれどもスムーズなライディングを意識すると避けては通れないのがハンドル操作です。
“バイクは重心移動で曲げるからハンドル操作なんて不要だ!”という方も、一度ダマされたと思って意識的にハンドルを切ってライディングしてみてください。思わぬ発見があるはずです。
というわけで、今回のヨシキのライテク講座はハンドル操作編です。バイクのハンドル操作をマスターして、あなたも明日から上級ライダーの仲間入りです。
ライディングの基本はセルフステア
さて、バイクのハンドル操作といっても、そのテクニックはさまざま。オンロードやオフロード、ドライコンディションやウェットコンディションによって使い方が異なります。
けれどもどんなテクニックも基本は一緒。まずはライディングの基本である“セルフステア”を意識できるようにならなければハンドル操作のテクニックを磨くことはできません。
まずはセルフステアからマスターしていきましょう。
セルフステアとは?
セルフステアとはバイクを傾けたときに、傾けた方向に勝手にハンドルが切れる状態のことを言います。
セルフステアを簡単に感じるには、サイドスタンドを立てた状態のバイクにまたがってハンドルをまっすぐにしてみましょう。そのまま上半身の力を抜くとサイドスタンドの方向にハンドルが切れ込むはずです。
これがまさにセルフステアです。
このハンドルが勝手に切れる感覚を走りながら感じられるようになれば、上半身の力が抜けて下半身でマシンをコントロールできている証拠になります。
“バイクは重心移動で曲げる”この言葉の真意は、まさにセルフステアを感じろと言っていると言っても過言ではありません。
ライディングポジションによって最適なハンドル操作は変化する
基本姿勢でセルフステアを感じられるようになったら、次はライディングポジションを変えてセルフステアができるか挑戦してみましょう。
乗り方によってセルフステアができないようではまだまだ上半身でバイクに乗り過ぎです。的確なステアリング操作は下半身が作ります。
ここからはポジション別の最適なハンドル操作を学んでいきましょう。
実際に試してみるときは安全な速度で、無理しない範囲で挑戦してみて下さいね。
リーンインのとき
バイクよりも体を内側に入れて乗る“リーンイン”。Rの大きなカーブやスピードが乗っている状態でのカーブのときに使うと効果的なこの乗車姿勢。いつも以上に力を抜いてセルフステアを意識することが重要です。
初心者ライダーの方でよくあるのが全力でハンドルを押さえつけるリーンインの姿勢。これでは上半身に力が入りすぎです。
下半身でしっかりニーグリップができていない状態で、リーンインを取ると、おのずと体制はハンドルにしがみつくような形へ。
本来バイクをほとんどバンクさせなくても曲がってくれるはずのリーンインなのに、ほとんどバイクが曲がらなくなってしまいます。
実はこれ、ハングオフでバイクを曲げられない方も原因は共通です。
リーンインのときは、通常の乗車姿勢よりも意識的に上半身の力を抜く。これがスムーズなハンドル操作のコツになります。
リーンウィズのとき
バイクと体が一直線になる“リーンウィズ”。セルフステアを習得するときは必ずこの乗り方を基本に覚えましょう。
バイクと体の重心がまっすぐのときが一番バイクはいうことを聞きます。この基本姿勢でまずはセルフステアの操作感を覚えることが重要です。
逆に言えば、これでセルフステアを感じられない場合は、乗車ポジションが悪かったり、上半身に力が入りすぎている可能性があるので、自身のライディングを見直してみるといいでしょう。
リーンアウトのとき
カーブに対して、バイクのバンク角よりも体の重心が外側に来る“リーンアウト”。クイックなカーブで効果絶大なこの曲がり方も、セルフステアが難しいライディングポジションです。
そもそも腕を伸ばしてハンドルを突き出すように寝かせるリーンアウトの姿勢は、ハンドルに力が入りやすくなるのも無理はありません。
けれども、バイクのステップでしっかり足を踏ん張ってニーグリップを意識できれば、あとは他のライディングポジションと同じ。力を抜いてセルフステアに任せるだけです。
リーンアウトに姿勢はガニ股になりやすく、ニーグリップが疎かになりがちです。リーンアウトのセルフステアが上手くいかないときは、ライディング姿勢を見直してみるといいかもしれませんよ。
シチュエーション別、ハンドル操作テクニック
あらゆるライディングポジションでセルフステアができるようなったら、いよいよハンドル操作テクニックを実践する準備が整いました。
ここまで「セルフステア、セルフステア」としつこくいってきましたが、ときにはセルフステアを殺す。そんなライディングが有効になる場面があります。
というより、ハンドル操作とはセルフステアを学んだうえで、“あえてピンポイントでセルフステアを殺す”そんなテクニックのことを自分はハンドル操作だと思っています。
実際にGPライダーの青木憲篤氏もセルフステアを使わないライテクについて語っていましたしね。
セルフステアに少しだけアクションを入れてあげることでバイクは面白いように向きを変えてくれます。「いつものツーリングにマンネリしてるな~」なんて思っているライダーの皆さん、小ワザの一つとして遊んでみてはいかがでしょうか?
ただし!意識的なハンドル操作は、やりすぎるとバイクの進みたい向きを強制的に変化させてしまい転倒のリスクが高まります。やりすぎにはくれぐれも注意してくださいね。
公道編
路面のグリップ力が高い公道では、カーブの侵入でセルフステアを抑え込むと驚くほどスムーズにバイクが寝てくれます。
やり方は簡単。少しスピードの乗ったカーブの侵入で、バイクを倒し込むのと同時に少しだけハンドルをまっすぐからほんの少し曲がりたい方向に切ってあげるだけです。
これだけで思った以上にバイクはスムーズに鼻先をカーブに入れていけるようになるでしょう。
ハンドルをに力を入れるポイントはセルフステアを感じ始める一瞬。通常であればセルフステアを意識して曲がるとき、少しだけ曲がりたい方向とは反対にハンドルが切れる感覚があると思うのですが、このタイミングで反対方向にハンドルが切れないようにするだけです。
このタイミングを掴めば、峠などのワインディングロードでバイクはヒラヒラ曲がっていくでしょう。
低速では少し難しいテクニックのため、実践にはある程度スピードが必要です。練習はくれぐれも安全に気を付けて行ってくださいね。
林道編
路面のグリップが低い林道やダートにおいて、小回り旋回を聞かせたいときには必要以上にリーンアウトの姿勢を取って、ハンドルが地面に刺さるんじゃないかと思うくらい曲がりたい方向に引き倒してあげましょう。
こうすることでフロントタイヤが潰れ、グリップ力が増加。しっかりとフロントタイヤが地面に食い込むのでスリップダウンすることなくクイックな旋回が可能になります。
このテクニックは砂利道などでハンドルを切って曲がるときにフロントが逃げて上手く曲がれないといった悩みを抱えている方にも有効です。
速度域も非常に低く、静止状態からでも試すことができるので、林道遊びが好きな方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
モトクロスコース編
モトクロスコースでは空中でハンドル操作をすることでジャンプの姿勢を制御することができます。いわゆる“スクラブ”や“ウイップ”がこれに該当し、憧れを抱いている方も多いのではないでしょうか。
かなり上級テクニックなので細かなウイップのやり方解説は割愛しますが、ジャンプの飛び出しでハンドルをこじることができるライダーさんであれば、あとは練習あるのみです。
【まとめ】セルフステアを学んでからハンドル操作を覚えてみよう
ハンドル操作にはさまざまなテクニックがあります。しかしそれを実践するためにはあくまで基礎ができてこそです。
実際セルフステアをマスターできた人なら細かなハンドル操作のテクニックなど不要かもしれません。
けれどもそこに小ワザを入れたくなるのがライダーのさが。憧れのライダーのようにかっこいいライディングを目指すならまずはセルフステア。それができたらステップアップとしてハンドルテクニックに挑戦してみてはいかがでしょうか?
投稿者プロフィール
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元モトクロス国際B級ライダーのヨシキです。
趣味は林道探検、オフロードバイクでどんな山道も散策します。
今は整備士として活躍しているので、メンテナンス、DIYでできる整備など、お役に立てる情報を発信していきたいと思います。もちろんレーサーならではのライテク記事も執筆していくのでおたのしみに。
【愛車たち】
SUZUKI RM-Z250,HONDA CR125,SUZUKI RM80L
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