バイクを購入しようと思って公式ページを見てみると、必ず目にするのが“スペック表”。ちゃんと見れていますか?
主要諸元表とも呼ばれるこの一覧表には、そのバイクの車体寸法からエンジンパワーに至るまで、詳細なデータがすべて数字で記載されています。
しかし、スペック表の内容をよく見てみると、「専門用語が多くて何が書いてあるか分からない」そんな方も少なくないでしょう。
そこで今回はバイクのスペック表の見方を解説していきます。
スペック表を見ることができれば、乗ったことがないバイクでもどのような特徴を持ったバイクなのか、おおよそ判断することが可能です。
新車を購入するときはもちろん、中古車を買うときにも役立つスペック表。ぜひ見方を学んでいってくださいね。
スペック表(主要諸元表)とは
スペック表とは、正式には主要諸元表といい、バイクの詳細なスペックデータを記した資料のことを言います。
そもそも主要諸元表とは、国土交通省に対して車両の認可を受けるために提出する諸元表の一部を抜粋したもので、特定のルールに則った測定データのうち、消費者に直接関係のある項目のみを記載した一覧表のことを言います。
そのため、スペック表に記載されているデータはメーカー問わず、同じ基準で測定された結果であり、それらを見比べることで、数値的に対象となる車体の性能を評価することが可能です。
なので、スペック表に書かれている内容を理解することができれば、
「コーナリング重視の車体なのかな?」
「広告では小柄に見える車体だけれど実際には意外と大きいんだ」
といった内容を実車を見なくても推察できるようになります。
これらのデータは、車体の購入場面以外にも、修理をするときの基準データとして役立つ場合があるので、見れるようになっておいて損はない知識です。
ということで、ここからは実際にスペック表に書かれている内容をそれぞれ確認していきましょう。
スペック表に書かれている主な項目
スペック表に書かれている主な項目を解説していきます。もっと詳細に紹介するとなると本当はさらに細かいデータが記されているのですが、正直そこまで見れるようになる必要はありません。
これから紹介する項目さえ頭に入っていれば、十分車体を評価することは可能でしょう。
型式
型式はそのバイクの登録モデルのことを言います。
例えば、ホンダCBRの場合、MC17やSC28といった型式が存在します。この型式は発売した年式、モデル、排気量によって異なり、型式を見ればいつの年代のバイクなのかがすぐに分かります。
パーツを注文するときには型式から部品を調べることもあるので、自身のバイクの型式は覚えておくと良いでしょう。
車体寸法
車体寸法はその名の通り、車体のサイズです。単位はmm。
これから購入するバイクの保管場所を決めるときにこの項目を見ると、大体必要なスペースの検討が付きます。
燃費
燃費はご存知、燃料1リッターでどのくらいの距離を走れるのかを示した指標です。燃費の記載には“定地燃費値”と“WMTCモード”の2種類が表記されているのですが、より実走行の燃費に近いのはWMTCモード。
このモードは発進、加速、停止を含めた国際基準の測定方法から算出した燃費ですので、実際に道路を走行したときの燃費と比べて誤差が小さくなります。
エンジン型式
エンジン形式は、そのバイクに搭載されているエンジンの型式を表します。エンジン型式を見ると他のバイクにも同じエンジンを流用していることがわかったりして、ちょっとした豆知識を得られることもあります。
エンジンスペック
エンジンスペックには、総排気量・馬力・エンジン形式などが記載されています。バイクの排気量や、パワーを知りたいときの参考になります。
燃料タンクの容量
主要諸元表には燃料タンクの容量も記載されています。自分のバイクのタンク容量を調べるときに重宝します。
始動方式
始動方式はエンジンのかけ方を記載しています。現在発売しているバイクのほとんどはセルモーターを利用したセルフ式となっていて、キック式などのセルフ式以外の始動方式を見ることはほとんどなくなりました。
変速機形式
変速機形式はトランスミッションの形式を示しています。マニュアル車であれば変速ギアの数が記載されており、スクーターなどは無段階Vベルト式などと記載されています。
変速比
変速比はギア比のことを言います。ギア比とは、出力側のギアが1回転するときに入力側のギアが何回転するのかを示す比率です。
比の値が大きくなるほど、トルクが増大し、小さくなるほど速度が伸びます。
フレーム形式
バイクの骨格となるフレームの形状を示しています。ダイヤモンド式やクレール、バックボーンなどがあります。
キャスター角/トレール量
キャスター角/トレール量は、バイクのハンドリングを示す指標です。キャスター角はバイクを横から見たときのフロントフォークの角度を示し、トレール量はフロントタイヤの接地点とハンドルの中心点を結んだ距離を言います。
つまりキャスター角が大きくなればトレール量が増し、キャスター角が減ればトレール量は小さくなります。
直進安定性を重視するならキャスター角は大きくなり、コーナーリング性能を重視するならキャスター角は小さくなります。
タイヤサイズ
タイヤサイズにはタイヤの幅、扁平率、ホールサイズを記載しています。
例えば120/75-15と記載されていれば、タイヤ幅120mm・扁平率75%・ホイールサイズ15インチということになります。
ちなみに、扁平率とはタイヤの高さを表す数字で、タイヤ幅に対して何%の高さであるかを示しています。今回の例で言えば扁平率は75%ですので、タイヤの高さは90mmとなります。
舵取り角左右
舵取り角はハンドルの切れ角を示しています。舵取り角が大きいほどハンドルの切れ角が大きくなります。
スペック表を見るときの注目ポイント
ここまで主要諸元表に記載されている項目をざっと紹介してきましたが、「そんなにたくさんの項目を覚えられない!」という方は次の4項目にだけ注目すればある程度バイクの性能を知ることができます。
車体寸法
車体寸法は先ほどもご紹介した通り、バイクのサイズを示しています。最近では原付2種に相当する125㏄クラスのバイクもボディサイズは400㏄クラスとほぼ同等になってきており、かなり大きいバイクという印象です。
バイクを止めるスペースが限られていたり、サーキットへバイクを持ち込むためのトランポを購入するときには、“思ったよりもバイクが大きい”といった事態にならないように、諸元表の車体寸法を調べておくことをおすすめします。
ちなみに、車体寸法にはミラーを含んでいません。トランポを作成するときに積載スペースをぎりぎりに設計してしまうとミラーが引っかかって載せられないということにもなるので注意しましょう。
燃費
燃費は、スペック表を見る中では大切な項目です。ロングツーリングをよくする人であれば、燃費性能は出費に大きく関わるのでとても重要ですし、耐久レースに市販車を持ち込む場合も燃費性能は給油タイミングを計る上での参考データとなります。
たかがバイクの燃費と侮らず、自身のバイクの燃費性能は把握しておきたいですね。
エンジンスペック
スペック表の項目がほとんど見れなかったとしても、エンジンスペックだけは見れるようにしておきましょう。特に排気量は最重要項目です。
車と違い、排気量の差で免許区分が分けられているバイクは、大型免許保有者以外はすべてのバイクを乗ることはできません。
せっかくバイクを購入しても、「自分の持っている免許では運転できなかった」なんて悲しい事態にならないようにスペック表での排気量のチェックは忘れないようにしてくださいね。
舵取り角左右
舵取り角左右はバイクの取り回しに大きく影響するため、街乗りメインに使うバイクは注目しておくと良いでしょう。
狭い街中を走るのに、レーサーレプリカのようにほとんどハンドルが切れないバイクは乗りづらくてとても不便です。
反対に高速走行を多用する人は直進安定性を重視するので切れ角は小さめがおすすめです。
【まとめ】スペック表が見られればバイクの性能がすべてわかるようになる
バイクのスペック表は、それを見るだけでどの様な性能のバイクであるかが一目でわかるような資料です。ある程度読めるようになれば乗ったことのないバイクでもどのような性格の車両なのか判断できるようになりますし、重要なポイントを見るだけでも公開しないバイク選びが可能です。
スペック表はメーカの公式ページに必ず載っています。気になる方は是非一度見てみてはいかがでしょうか。
諸元表の見方くらいは知ってるよ!というベテランの方はこちらの記事もお読みください。
諸元表の見方が変わりますよ。
投稿者プロフィール
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元モトクロス国際B級ライダーのヨシキです。
趣味は林道探検、オフロードバイクでどんな山道も散策します。
今は整備士として活躍しているので、メンテナンス、DIYでできる整備など、お役に立てる情報を発信していきたいと思います。もちろんレーサーならではのライテク記事も執筆していくのでおたのしみに。
【愛車たち】
SUZUKI RM-Z250,HONDA CR125,SUZUKI RM80L
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