皆さんこんにちは、整備士モトクロスライダーのヨシキです。実は先日、こんな相談を受けました。
「自分で整備をしたいんだけれど、工具は何を買ったらいいの?」
これ、結構な人が悩んでるみたいですね。確かに工具と一言で言っても種類は豊富ですし、ボルトのサイズによっても必要な工具は変わってきます。そこに特殊工具やドライバーセットなど、工具を一式本気で揃えようと思ったらキリがありません。しかも工具ってひとつひとつが結構高いんですよね。
なので今回は、“とりあえずこれだけあれば日常メンテはばっちり!”という工具セットの選び方を紹介していきます。
正直、基本整備ならある程度決まった種類の工具があればおおむね対応できます。最初からすべてを揃える必要はありません。そのうえで、どうしても足りない工具があれば買い足していけばいいのです。
これからサンデーメカニックにチャレンジしようと工具に興味を持っているそこのあなた、ぜひ参考にしてみて下さいね。
日常メンテ用の工具を用意するなら、何の作業をするか?から逆算して揃えよう
さて、工具選びの基本ですが、まずは作業する内容から逆算して揃えるのがセオリーです。例えばオイル交換。エンジン下部にあるドレーンボルトを緩めて作業をするのですが、ここで必要な工具は
- メガネレンチ(12mm~17mmサイズ)
- ソケットレンチ(12mm~17mmサイズ)
- 廃油の受け皿
- オイルを入れるジョッキ
これくらいあれば十分でしょう。必要な手順や工具は調べればすぐに出てきます。
とはいえ、これからバイクの整備を始めるメカニック初心者の方にとっては、いきなり調べて作業するのは少し難しいかもしれません。あくまで工具選びの基本として覚えておいてくださいね。
初心者向けの工具の選び方はこの後詳しく紹介していくのでご心配なく。
SST(特殊工具)が必要な場合はプロにお願いするのも選択肢
また、「簡単な作業ならやったことあるよ!」「調べて作業をするのは得意!」という方でも、SSTと呼ばれる専用工具が必要な作業はDIYで行わない方が無難でしょう。昔と違い、今はSSTが簡単に手に入るようになりました。
けれども、基本的にSSTは高価ですし、それ以外の作業には適しません。しかもSSTが必要な作業の中には難易度が高いものもあります。(クランクケースセパレーターなどのSSTはエンジンオーバーホールでもしない限り使いません)
安易に調べてSSTを揃えればいいんだ!と短絡的に購入してしまうと後から後悔するかもしれないので、SSTを使用する作業はプロにお願いするのも選択肢のひとつです。
ちなみに、それでも自分で作業をするんだ!という気合が入った方にはSST以外にもキャビネット型の大型工具セットの購入も併せてオススメします。
レバー調整やちょっとしたオプションパーツの取り付けならホームセンターの工具セットで十分
ということで、本題に戻ります。結論から言えば、メンテ初心者の方がレバーの交換や、スマホホルダーの取り付けなど、ちょっとした日常整備に挑戦する程度の作業であればホームセンターの工具セットで十分です。無理に高いものを買う必要はありません。
少し値段はしてしまいますが、DIY用工具専門店で販売している工具セットは必要なものが大体含まれていますので、お近くに店頭がある方は立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
工具セットの選び方の目安
ちなみに、一言で工具セットといっても種類はたくさんあります。なので私がおすすめするのは次のような工具が入っている商品。
- メガネレンチ
- スパナレンチ
- ラチェットレンチ
- ドライバーセット
- ハンマー
- ペンチ
- プライヤー
- ニッパー
バイクの整備向けに初めて買うなら以下のセットがオススメです。一番下の棚は空なのでハンマーなどを追加で購入して収納するのが良いですね。
中にはメガネレンチとスパナレンチがセットになったコンビネーションレンチというものもあるので、メガネレンチやスパナレンチが入っていなくても、こちらが入っていればOKです。
作業別、用意しておきたい工具一覧
ここまで読んでいただいたあなたはきっと工具好き、もしくはメンテ好きなはず。なので最後はおまけとして作業別に用意しておきたい工具を紹介しておきます。
是非DIYメンテの参考にしてみて下さいね。
オイル交換をするならラチェットレンチ
整備の基本、オイル交換をするならラチェットレンチがあればOKです。その他に、廃油の受け皿、オイルを入れるジョッキなども必要ですね。バイクによっては作業をする隙間が少ない車両もあるので、メガネレンチなどもあると便利です。
作業のコツ
オイル交換はエンジン底面、もしくは下部にあるドレーンボルトを取り外してオイルを排出。オイルが出てこなくなったらドレーンボルトを締め付けて、エンジンの上の方にあるフィラーキャップからオイルを入れたら作業完了です。
ドレーンボルトもフィラーキャップも分かりやすい位置についていますが、見つけ方のコツとしてはドレーンボルトはエンジン底面の中央付近に配置。フィラーキャップはコインで外せそうな特殊形状のボルト、もしくは樹脂製のキャップを採用しています。
フルカウルマシンはドレーンが見つけにくい傾向にあるので、別途カウルを取り外す工具が必要になる場合もあります。
ソケットレンチを単品で購入する場合には個別に買うよりもセット品がおすすめ。よく使うボルトのサイズが大体用意されているので持っておけば基本的な整備に支障はありません。
チェーン調整をするならメガネレンチとスパナ
チェーン調整をするなら、メガネレンチとスパナを用意しておきましょう。但し、チェーン調整はリアタイヤを完全に浮かさなくてはいけません。そのため、工具の他に車体を浮かすためのスタンドも用意しておきましょう。
作業のコツ
ドライブチェーンの調整はリアタイヤのアクスルシャフトを緩めて、スイングアーム後部の調節ネジ絞めたり緩めたりして張り具合を調整します。
チェーンの張り具合はメーカーによって規定値が異なるので、単純に張ればいいというわけではない点に注意しましょう。
作業自体は単純ですが、駆動系の調整ですので、自身が無い方は無理に手を出さず、ショップに持っていくことをおすすめします。
灯火類の整備にはドライバーセットとラジオペンチがあると便利
ヘッドライトの交換や調整にはドライバーセットとラジオペンチがあると良いでしょう。また、狭い部分で工具が入らない時は柄の短いドライバーや、先端を交換することで様々なドライバーになるビットセットがあると便利です。
作業のコツ
灯火類の交換は比較的簡単です。レンズの隅についているネジやボルトを緩めるだけすぐに取り外しができます。一見取り外し方がよくわからなくても、じっくり構造を観察すれば調べなくても自分で交換できるで車両が多いです。特にネイキッドタイプのバイクは作業性が良いのでぜひちょうせんしてみてはいかがでしょうか。
作業の注意点はネジの固着。ライトのレンズを止めているネジはサビていることも多く、無理に回すとネジをなめてしまいます。ぱっと見でサビていたり、硬く閉まっているネジだった場合は、潤滑油を吹きかけてからの作業がおすすめです。
ちなみに、ドライバーはある程度値段がするものを選んだ方がネジを舐めてしまうリスクが激減します。私の愛用はKTCのドライバーセット。これはかなりラフに使っても壊れないので重宝します。
工具は本気で集めようと思ったらキリがない
DIYでできる簡単な作業であれば、市販の工具セットが一つあれば問題なく作業はできます。しかし、だんだんメンテにハマってくると少しずつ工具が集まってくるのもバイク乗りの悲しいサガですね。実際自分も仕事用と自宅用の工具を合わせたら相当の数の工具があります。
正直工具集めはキリがありません。実用性だけを考えるなら、市販のツールセットを一つ購入すれば十分ですし、もし整備や工具にはまりそうだと思ったら、その時は存分に工具を集めたらいいでしょう。
中には“工具集めが趣味”という方もたくさんいらっしゃいますので、整備に興味が出てきたら、新たな楽しみとして工具フリークを目指す、なんていうのも面白いかもせれませんね。
投稿者プロフィール
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元モトクロス国際B級ライダーのヨシキです。
趣味は林道探検、オフロードバイクでどんな山道も散策します。
今は整備士として活躍しているので、メンテナンス、DIYでできる整備など、お役に立てる情報を発信していきたいと思います。もちろんレーサーならではのライテク記事も執筆していくのでおたのしみに。
【愛車たち】
SUZUKI RM-Z250,HONDA CR125,SUZUKI RM80L
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