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コラムお役立ち

1000ccスーパースポーツが消滅!? 欧州YZF-R1公道版の生産終了から最高峰SSの今後を検証してみた

沼尾宏明
最終更新日 2024/04/23 17:06
沼尾宏明
Published: 2024年4月23日
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スズキのGSXR-1000Rに続いて、ヤマハが欧州でYZF-R1の公道仕様を販売終了するとアナウンスした。最高の動力性能を発揮する1000ccスーパースポーツはこのまま消え去ってしまうのか? 今のうちに買っておいた方がいいのか? そのところを考察してみた!

目次
  • 1998年の登場以来、ヤマハの顔だったR1が生産終了!
  • R1は日本でもラストになる可能性が高い、リミットは2026年10月末
  • CBR1000RR-Rは当面安泰、ZX-10Rは黄信号点灯か?
  • なぜSSは販売終了に追い込まれてしまうのか?
  • ユーロ5+の次によりキビしい規制が!これでSSは終焉か?

1998年の登場以来、ヤマハの顔だったR1が生産終了!

噂があったとはいえ、衝撃的なニュースだった……。2024年2月23日、欧州のヤマハレーシングが正式発表。「2025年からYZF-R1はサーキットモデルのみを販売し、公道走行モデルは販売しない」とアナウンスした。これは、かつて600ccの弟分=YZF-R6が辿った流れと同様だ。

YZF-R1は、ご存じヤマハの最高峰スーパースポーツ(SS)。1998年のデビュー以来、技術の粋を結集した旗艦としてヤマハの顔を担ってきた。スーパーバイク世界選手権や全日本選手権、鈴鹿8耐を含む世界耐久選手権など市販車カテゴリーのトップレースでも活躍し続けている。そんなモデルが公道で乗れなくなるのだから大事件だ。

生産終了の理由は欧州の排ガス規制=ユーロ(EURO)5+によるもの。ユーロ5+は欧州で公道走行できる新型車に2024年1月から、継続生産車(2023年12月末までに生産されていたモデル)に2025年1月から適用。それ以降に生産されたモデルは、規制対応していないと販売できなくなる。

公道版のR1はこれに対応せず、生産終了になるというわけだ。

既にスズキの最上級SSであるGSX-R1000/Rは、欧州で2022年に生産終了。日本で発売されていたGSX-R1000Rも同年に絶版となった。これも一つ前の排ガス規制(ユーロ5)が生産終了の原因だ。

YZF-R1M(ヤマハ)。200psのハイパワーに車重202kgの軽さを融合したヤマハ自慢のSS。新色を採用した2024年型が同1月に国内発売されたばかりだ。M仕様は電子制御サスなどを備えた上級版。価格319万円。引用元:ヤマハ
YZF-R1(ヤマハ)。標準仕様も2024年型が日本で発売中。価格236万5000円。引用元:ヤマハ
スズキのGSX-R1000Rは既に終売。日本では2022年11月から適用された令和2年排ガス規制に対応せず生産終了となった。ちなみに独自の規制を敷く北米では存続中。新型が登場するとの噂もあるが?引用元:スズキ

R1は日本でもラストになる可能性が高い、リミットは2026年10月末

ユーロ5+とはどんな規制なのか。従来のユーロ5では、50ccを除き、故障ログを記録するOBD2(車載式故障診断装置)の設置が義務付けられているが、マフラーなどの触媒劣化を検知するシステムについては猶予が与えられていた。

その検知機能を持つ通称「OBD2-2」がユーロ5+では義務化される。故障時の排ガス発散を防ぐ、より高度化したOBDが必須となるのだ。

これは欧州の排ガス規制だが、日本でもほぼ同じ規制が導入されている。ユーロ5と日本の令和2年二輪車排ガス規制はほぼ同じで、ユーロ5+と国内次期規制も同様だ。

ただし、国内には欧州から遅れて導入されるのが通例。日本では新型車に2024年12月以降、継続生産車には2026年11月以降から適用されることが決定している(51~125ccはさらに1年遅れで導入)。

近年バイクのグローバル化が進んでおり、欧州でR1がユーロ5+に対応しない場合、日本でも対応せず終売となるのは確実。R1は継続生産車なので、2026年10月末生産分をもって国内でも販売NGとなってしまう(その前に生産終了する可能性もある)。

「あと2年半」と考えると、まだ猶予がありそうだが、生産数や流通数を考えると手に入らなくなる可能性がある。R1の新車が欲しい人は今すぐ動いた方がいいだろう。

ユーロ5+ではマフラーなどの触媒劣化を検知するセンサーが義務化される。※写真はCBR400R 引用元:ホンダ

CBR1000RR-Rは当面安泰、ZX-10Rは黄信号点灯か?

では、他の国産リッターSSはどうなのか。現在、日本ではホンダのCBR1000RR-Rと、カワサキのNinja ZX-10Rが販売中だ。

まずCBR1000RR-Rは当分存続するハズ。欧州の2024年モデルがユーロ5+に適合しており、日本でも2024年3月に新型が発売済みだからだ。

ホンダが何らかの事情で生産中止する可能性もあるが、法規的には欧州で2025年以降も存続可能。国内でも2026年11月以降も販売OKなので、当面は安泰だろう。

国内仕様の2024年型CBR1000RR-R FIREBLADE/SP(写真はSP)。日欧とも最新規制に対応済みだ。価格はSTD=248万6000円、SP=284万9000円 引用元:ホンダ

一方のZX-10Rは次期規制に未対応(2024年4月時点)。R1と同じく、このまま規制対応しない場合、欧州では2024年末までの生産分、日本では2026年10月末生産分で販売できず絶版に追い込まれてしまう……。

Ninja ZX-10Rの日本仕様。2021年にモデルチェンジされ、ユーロ5に対応したが、次期規制には未対応だ。価格236万5000円~。引用元:カワサキ

なぜSSは販売終了に追い込まれてしまうのか?

他のジャンルでも排ガス規制を機に生産終了するバイクはあるが、特にSSは存続の危機にさらされがちだ。その理由は二つ考えられる。

まず一つ目の理由は、極限の性能を追求しているから。1psでも馬力を上げ、1kgでも軽くして最高の「走る、曲がる、止まる」を求めることは、まさに規制との戦い。リッターSSは現在200ps超がフツーだが、規制強化によって性能の維持が厳しくなる。となれば、SSの存在意義が薄くなってしまう。

二つ目の理由は人気の低下。1990~2000年代は高い人気を誇ったが、近頃は性能が先鋭化し、価格も高額化の一途だ。また過激なライディングポジションと走りに中年ライダーがついていけなくなったのも衰退の理由と言われている。

SSに代わって人気が出てきたのが、ライポジがラクなアドベンチャーやネオクラシック系のバイクなのはご存じの通りだ。

もちろん規制対応には多大なコストがかかるが、セールスが見込めないのであれば、メーカーとしても生産終了の判断を下さざるを得ない。こうした流れは既に600cc級のSSが辿り、ラインナップが減少した。同じ道をリッターSSも進もうとしているのだ。

隆盛を誇った600ccSSだが、2016年に排ガス規制の影響でGSX-R600(スズキ)、デイトナ675(トライアンフ)らが日欧で生産終了。YZF-R6は2017年型で復活したが、2020年型で公道モデルが絶版に。現在は写真のレーサーが販売されている。引用元:ヤマハ

ユーロ5+の次によりキビしい規制が!これでSSは終焉か?

当面安泰と思われるCBR1000RR-Rだが、実はまだ規制が控えている。ユーロ5+の次に、「ユーロ6」が検討されているのだ。実施時期や内容は未確定だが、「2027~2028年頃」と予想できる。

日欧ともに、まずは新型車から適用され、1~2年遅れで継続生産車(現行モデル)に適用されるケースが多い。そして前述のとおり日本では約1年後に開始されるのがセオリー。したがって欧州では2028~2029年頃、日本では2029~2030年頃にユーロ6が全面適用されるかもしれない。

内容は非常に厳しくなると予想され、恐らくユーロ6で現在のようなリッターSSは存在できなくなるだろう。

リッターSSはメーカーの技術を結集した憧れの存在。内燃機関の存続さえ危ぶまれる昨今、消滅する危険性が高まっているのは、一ライダーとして残念でならない。いずれにせよ現在のような高性能のリッターSSが手に入る最後の機会が今かもしれない。欲しい人は、それほどの危機感を持っておいた方がいいだろう。

投稿者プロフィール

沼尾宏明
ふだんフリーランスとして、主にバイク雑誌の編集やライターをしている沼尾です。
1989年に2輪免許を取得し、いまだにバイクほどオモシロイ乗り物はないと思い続けています。フレッシュな執筆陣に交じって、いささか加齢臭が漂っておりますが、いい記事を書きたいと思っているので、ご容赦ください。趣味はユーラシア大陸横断や小説など。よろしくお願いします。
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タグ:ユーロ5リッターSS排ガス規制生産終了絶版販売終了
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