皆さんこんにちは。ヨシキです。さて今回はタイトルの通り“新車の慣らし運転は必要なの?”という疑問について記事にしていこうと思います。
正直、新車の慣らし運転ってかったるいですよね。2,000回転以下で10時間乗れだとか、まずは100キロ以内でオイル交換をしろだとか、制約が多すぎます。
せっかく新車を買ったならすぐにでも思うがままに走りたいと思うのが人情。けれども慣らし運転を無視して新車にダメージを与えたくない…どうしたらいいんだ!
そんなジレンマを今回は整備士ヨシキが解決していきます。
結論:慣らし運転は必要
まず結論です、“慣らし運転はしてください”。メーカーの指示通りに、きっちり慣らし運転をしましょう。新しいバイクをすぐにでも全開で走らせたくなるのは分かりますが、そこはグッと我慢。慣らし運転が終わるまでは走らせ方を制限したほうがバイクのためになります。
慣らし運転には、エンジンのパフォーマンスを引き出したり、バイクの寿命を高める効果があります。この先長くバイクを楽しむためと思ってじっくり育ててあげてください。
慣らし運転はピストンなどのあたり付けの役目がある
具体的な慣らし運転の効果は、ピストンやバルブにあたりを付ける役目。新品の金属製品同士は動きをスムーズにするために、“あたり”を付ける必要があります。
あたりを付けることで接触面が均一に触れ合うようになり、編摩耗や傷を防止します。人間で言えば準備運動のようなものですね。
慣らし運転中のアクセル全開はご法度
人間でも準備運動なしでいきなり全力で動き出したら、けがをする可能性がありますよね?バイクも慣らし運転をせずにいきなりアクセル全開にするのはそれと同じ。エンジンブローのリスクが高まります。
エンジン内部のシリンダーには通常“クロスハッチ”と呼ばれる薄い溝が彫られています。この溝によってオイルの潤滑力を保ち、ピストンの焼き付きを防止するのですが、新品のシリンダーではこのクロスハッチとピストンの馴染みがいまいちなのです。
この状態でいきなり全開走行をしてしまうと、オイル切れを起こしたり、ピストンに傷を入れたりして、焼き付きや抱き着きの原因となる可能性があります。
慣らし運転が終わるまで、アクセル全開は我慢してくださいね。
慣らし運転のやり方
慣らし運転の重要性が分かったところで、実際に慣らし運転のやり方をご紹介していきます。といっても難しいことは何もなく、メーカーの指示通りに慣らし運転をすればまず問題はありません。
基本は取扱説明書に書いてある通りで問題なし
こちらは参考までにカワサキ ZX25-Rの慣らし運転の方法を引用してきました。
【新条件】Ninja ZX-25Rのみ
最初の1000kmを走行するまでは、下表のエンジン回転数以下でならし運転をしてください。慣らし運転を行うと車の性能を維持し寿命を延ばします。
走行距離 エンジン回転数 0~200km 6000rpm 200~350km 8000rpm 350~1000km 控えめな運転
アドバイス
- 必要に応じて一時的に制限回転数を超えることは問題ありません。
- 不必要な空吹かし、急加速、急減速はつつしんでください。
- 法定速度を守って走行してください。
カワサキ公式ホームページ
といった具合に、特段難しい操作は必要ありません。大切なのはエンジン回転数を上げ過ぎない事なので、早めのシフトアップで普段よりも1~2速ほど高めのギアで走ると、速度に対して回転数は上がらないのでスムーズです。
慣らし運転中はマメなオイル交換も忘れずに
慣らし運転中はマメなオイル交換も重要です。慣らし運転中はどうしてもエンジン内部の金属ゴミが発生しやすく、オイルが汚れがち。できればオイルはメーカーの指定距離の2/3を目安に少し早いサイクルで交換してあげましょう。
その時は必ずオイルフィルターの交換も忘れずに。
さらにきっちり慣らしをしたい方は距離ではなく稼働時間で管理するのがおすすめ
“大事なバイクなのでもっと手をかけて慣らし運転をしてあげたい”そんなマニアックな方は、エンジンの稼働時間で慣らし運転を管理するといいでしょう。
というのも、慣らし運転は距離を走ることが目的ではなく、エンジンを低回転で回し続けてあげることが目的です。
なので距離を稼ぐために郊外を高いギアでクルージングしてしまうと、エンジンの稼働時間に対して走行距離が長くなってしまい、結果として慣らし運転が短い時間で終了してしまう場合があります。
もちろんメーカーはそのあたりも考えてマニュアルを出しているので、それでも全く問題はありません。けれども、レーサーのようなこだわりの慣らし運転がしたいという方は、エンジンの始動時間を数える“アワーメーター”で慣らし運転を管理するのも一つです。
ちなみに、私がレースをやっていた時は新車エンジンの慣らしは5千回転以下で1時間。8千回転で30分それ以降は様子を見ながら20分定速走行を言った具合でした。
これはメーカーが正規に発表しているデータではないのと、公道で行っているわけではないので参考程度として見ていただければと思います。
新車なら低速走行はできないので、メーカーの指示通りに走行して、1,000キロ到達時にアワーメーターが20~30時間になるように走ってみてはいかがでしょうか?
慣らしをほとんど行わず全開走行した結果
また、極端な例ですが、慣らしをほとんど行わずにいきなり全開走行をすると最悪バイクが壊れます。それこそピストンが焼き付いたり、コンロッドのベアリングがダメになったりと症状はさまざま。
バイクを大切にしたいなら、慣らし運転は必ず行った方がいいでしょう。
私はシリンダーとピストンをダメにしてしまいました。
わたしの場合、新車ではありませんが、ピストンとシリンダーを新品交換した後、いきなり全開走行をしたら見事にエンジンブローしました。
ピストンの外周が溶け落ちているのが分かるでしょうか。ろくに慣らしをしなかったためにオイル切れを起こし、シリンダー内部が超高温に。その結果、ピストンが破損してその破片がシリンダーを傷つけてエンジンをダメにしてしまいました。
これは今のバイクではこのような症状はレアケースですが、最悪こういった事態も想定できると言う悪い見本です。
大切な新車を守るためにも慣らし運転はメーカーの指示通りにしよう
慣らしの大切さ、分かっていただけましたか?“慣らしなんかいらないよ”と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、マシンのポテンシャルを十分に引き出すなら慣らしは必須です。万が一のエンジントラブルの可能性も低くなりますしね。
慣らし運転はなにも特別なことは必要ありません、メーカーの指示通りに1,000km程度走るだけです。毎週ツーリングに出かける方なら1か月もあれば十分走れるでしょう。
せっかくの新車です、長い付き合いになるかもしれませんから慣らしはしっかりしてあげてくださいね。
投稿者プロフィール
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元モトクロス国際B級ライダーのヨシキです。
趣味は林道探検、オフロードバイクでどんな山道も散策します。
今は整備士として活躍しているので、メンテナンス、DIYでできる整備など、お役に立てる情報を発信していきたいと思います。もちろんレーサーならではのライテク記事も執筆していくのでおたのしみに。
【愛車たち】
SUZUKI RM-Z250,HONDA CR125,SUZUKI RM80L
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