こんにちは、整備士ライダーのヨシキです。
昨今の物価高。その影響はもちろんバイク業界にも押し寄せていますよね。ガソリン、タイヤ、プロテクターなど、10年前と比べるとどれも驚くほど値上がりしています。
その一方で、某中華系ネットショップなどでは有名ブランドの商品が非常に安く販売されていることもあります。
私のような、お財布に余裕のないライダーのは、消耗品をできるだけ安く抑えたいと常々工夫しています。しかし、そんな私でも絶対にケチらないパーツや装備があります。
それは、“安全に関わる部品”。
確かに安い商品はとても魅力なのですが、過去には安さにこだわりすぎて、危険な商品を購入してしまったことも。
そこで今回はそんな私の失敗を教訓に、“格安パーツの良し悪し”についてご紹介しようと思います。
安くても問題のない部品や装備と、お金を掛けておいた方がいい部品と装備の見分けをしっかりして、安く、安全に、楽しくバイクライフを楽しみましょう!
すべての格安パーツが悪いわけではない
まず皆さんにお伝えしておきたいのは、決してすべての格安商品が粗悪品ではないということです。
さすがに1万円で売られている新品のアルパインスターズ製ブーツなんかは、ほぼ確実にヤバいコピー商品だと思いますが、ノーブランドの安価な商品については実際に使ってみない事には商品の良し悪しが分からないですよね。
そこでまず重要視してほしいポイントは“安全性”。
極端な話、性能や耐久性は気になるものの、直接安全性に関わる商品でなければ格安商品でも全く問題ありません。
例えば、パーツクリーナーやチェーンオイルなどのケミカル商品は出来る限り安いもので良いでしょう。ノーブランドの安価なものでも十分に使えます。
オフロード用の薄手のグローブや、インナーシャツも安くていいものがたくさん売っています。
要は命を守る重要な部品だけはしっかりとした商品を選ぶだけで、グッと消費が節約できます。
また、しっかりと作られた安心のブランド品も、定価より大幅に安くインターネットショップで売られていた場合は、要注意。ニセモノかもしれませんよ。
安全優先:信頼できるメーカーを選ぼう
では信頼できるメーカーとはどういった会社なのか。これは世界的な基準にマッチしているかどうかで判断します。
この基準は製造部品に対する一定の信頼を担保するために設けられていて、ISO、JIS、PSCなどがそれに該当します。
たとえばヘルメットに貼られた、JISやPSC(またはSG)マーク、CE規格などのシールは衝撃試験にクリアしている証拠です。格安ヘルメットなどで、これらのステッカーがないものは信頼性が国際基準以下の可能性があります。
(※店頭で販売しているヘルメットに関してはほとんどが安全規格の適合品なので安心ですが、インターネット販売では要注意)
タイヤについても同様です。大手メーカーの多くはISOやJATMA(国内のタイヤ安全規格)といった安全規格に適合する商品を製造しています。これらの規格取得をしていない商品は安価であるものの、信頼性に欠ける商品である可能性があります。
メーカーの在庫処分品は狙い目
良質な部品を安く手に入れたいなら、メーカーの在庫処分品が狙い目です。レバーやグリップなどの消耗品が特価になることが多く、意外な掘り出し物が隠れているかもしれません。
たとえばニューモデルの発売前には旧モデルのヘルメットが店頭で安売りされている場合もあります。また、タイヤなども同じで、新しいシリーズが発売される前には旧モデルが特価になっていることも。
用品はインターネットショップ全盛ですが、たまにはバイクショップに足を運んでみてはいかがでしょうか。
格安ブレーキパッドはどうなの?
ちなみに、安全といえば最近よく見かける格安ブレーキパッドについて、
こちらは私も使ったことがありますが、街乗りで使うには十分なケースが多い印象です。
怪しい1セット100円程度の製品は除きますが、ストリート用の安価なブレーキパッドであっても心配なく走れます。もちろんサーキットではちょっと心配ですけれどね。
絶対に安物を避けたいパーツ&装備
ここからは私は絶対使わない格安パーツ&装備を紹介します。他の部分はケチってもここだけは譲らない安全装備一覧です。
部品編
ハンドル
ハンドルは絶対にメーカー品を使います。
というのも、オフロードバイクで使うバーハンドルのノーブランド品は曲がりやすく、ちょっとした転倒でクラックが入る恐れがあります。
林道や、ダートコースなど、転倒しやすい路面で遊ぶ方は、特にハンドルにはこだわるのがおすすめです。山の中で自走不可になってしまいます。
有名どころならやはり、RENTHAL。これが曲がるほどの衝撃なら恐らく骨も折れています。
チェーン
チェーンもこだわりたい部品の一つ。
チェーンはエンジンの動力をタイヤに伝える重要な部品です。安価なチェーンはすぐに切れたり錆びたりして耐久性が不安です。
特にパワーのあるバイクに乗っている方は、多少高くても信頼性のあるメーカーの方が安心です。
ちなみに私の愛用はRKのドライブチェーン。ノンシールチェーンなら比較的安価ですし、信頼性も抜群。ちょっとパワーのあるバイクならハイグレードなシールチェーンがおすすめ。
タイヤ
国内外の有名メーカー製が安心です。ブリヂストン、ミシュラン、ダンロップなどなど、1度は聞いたことがあるメーカー品を選ぶといいでしょう。
ネットで見かけるノーブランドの輸入タイヤはバランスの悪さから走行中に振動が発生したり、ウェット時のグリップが極端に低下したりすることがあります。タイヤ性能の低下は転倒のリスクにも直結。タイヤは良いものを履きましょう。
とはいえ、タイヤって高いですよね。
そんな時は思い切って一流メーカーの商品をネットで購入しましょう。タイヤは店頭よりもネットの方が安いことが多く、有名国産メーカの商品も特化になっているケースが良くあります。
交換時には工賃が掛かってしまう為、タイヤ代+αの費用が掛かりますが、それでも店頭よりも安いケースが見られます。
ある程度整備に慣れている方なら工具をそろえて自分でタイヤ交換に挑戦することも可能です
装備品編
ヘルメット
ヘルメットは安全規格に通っている商品を選びましょう。そのうえで、出来れば試着してから購入するのがおすすめ。
というのも、ヘルメットは正しく被って初めて本来の性能を発揮します。フィッティングが悪いと頭が痛くなったり、ヘルメットがずれてしまったりと危険なことも。
ネットショップで販売している規格不明のヘルメットは論外としても、ヘルメットはなるべく店頭で試着して、フィットしたものを購入すると良いでしょう。
プロテクター類
林道や競技走行では、しっかりしたプロテクターの装備が安心です。多くのバイク用プロテクターには欧州CE規格が採用されており、この基準を満たしているブランドがおすすめ。日本メーカーのプロテクターには分かりやすくCEマークが表示されていないことがありますが、JMCA(マフラー認証などで有名)の推奨ステッカーが貼り付けられている商品はCE規格同等の基準がクリアされていることが証明されています。
たとえば胸部プロテクターでは「EN1621-3」という規格があり、衝撃テストのみをクリアしたものがレベル1、さらに衝撃分散テストをクリアしたものがレベル2とされています。CEマークのほか、製品に添えられている表記内容から安全性は判断可能です。
ブーツ
ブーツはライディングスタイルに応じて選びましょう。サーキットや林道、レースなどではプロテクション性能を備えたレベルの高いブーツが必要です。
街乗りであれば、手頃なライディングブーツでも問題ありません。モトクロスやエンデューロを始めるなら、入門用でも専用ブーツを準備するのが安全です。
ちなみに、ブーツにもCEマークが導入されている商品は数多く存在します。まずはCEマークの有無で商品を決めて、それから予算に合わせてブーツを選んでいくスタイルだと選びやすくなりますよ。
安全を最優先に、支出を見直して楽しいバイクライフを
バイクは生身で乗る乗り物だからこそ、安全には十分に注意する必要があります。
だからこそ、ヘルメットやチェーンのように命や安全な走行に直結する部品をケチってしまうことは、おすすめできません。
もちろん特売や掘り出し物で良質なパーツを安く手に入れられれば、それに越したことはありません。しかし無理に安いものを追い求めると、後で後悔するリスクもあります。
節約するところは節約し、投資するべきところにはしっかり投資する。メリハリある支出で、無理なく楽しいバイクライフを満喫しましょう!
投稿者プロフィール
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元モトクロス国際B級ライダーのヨシキです。
趣味は林道探検、オフロードバイクでどんな山道も散策します。
今は整備士として活躍しているので、メンテナンス、DIYでできる整備など、お役に立てる情報を発信していきたいと思います。もちろんレーサーならではのライテク記事も執筆していくのでおたのしみに。
【愛車たち】
SUZUKI RM-Z250,HONDA CR125,SUZUKI RM80L
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