ドィカティが発表した新型パニガーレV4は、公道走行可能なスーパースポーツ・バイクの限界をさらに押し広げます。スーパーバイク世界選手権(SBK)で2年連続のタイトルを獲得したバイクを大幅に進化させて誕生した新型パニガーレV4は、デザイン、テクニカルベース、エルゴノミクスが全面的に見直されました。このニューモデルの開発では、ドゥカティ・コルセの経験を活かし、タイヤ、エアロダイナミクス、エレクトロニクスの進化から得られるメリットを最大限に活用しています。
新型パニガーレV4 Sの重量はわずか187kgで、先代モデルよりも2kg軽く、より厳しいユーロ5+規制**に適合しているにもかかわらず、最高出力が0.5ps向上しています。革新的なテクノロジーと絶え間ない改良により、イタリアのクレモナ・サーキットで行われた比較テストでは、速いアマチュアライダーからプロのライダーまで、さまざまなスキルを備えたライダーが、ベストタイムを約1秒も更新することができました。
エアロダイナミクス・デザインをボディに統合
新しいフェアリングは空気抵抗を4%削減し、ストレート走行時にライダーをより効果的に保護し、まるで「静かな気泡」の中にいるようなライドフィールを生み出します。優れた機能を誇るダブルプロファイル・ウィングはフロントシェイプと完璧に統合されていますが、先代モデルと同じダウンフォースを発生します。フェアリングの前端をフロント・ホイールに対して後方に移動させることで、高速コーナーでの切り返し時における俊敏性が向上し、フェンダー形状とラジエーター上流のコンベアの改良により、冷却システム、特にオイルクーラーの効率が向上しています。
エルゴノミクス
新型パニガーレV4は燃料タンクとシートの形状を見直したことにより、縦方向の動きがより自由になり、また、タンク上部の深い凹部により、ストレート走行時に、より深くタンクに伏せることができます。
同時に、燃料タンクの後部エリアは、サイドカバーおよびシート形状の組み合わせにより、体の動きを妨げることなく、ブレーキング、コーナーへの進入、コーナリング時にライダーをより適切にサポートします。ライダーはフルブレーキング時に膝で体を固定し、コーナリング中のハングオフが容易になるため、腕への負担が軽減され、全体的な疲労が軽減されます。
フットレストは、現行のパニガーレV4に比べて10mm内側に移動しています。これにより、地上高が増加し、ライダーが足と脚をより内側に配置できるようになり、空力性能も高まっています。
MotoGP由来のシャシー
新型パニガーレV4は高い縦方向の剛性値を維持しながら最適な横方向の剛性のために、フロントフレームが変更され、新しい両持ち式スイングアーム(ドゥカティ中空対称スイングアーム)が開発されました。
新しいスイングアームは、軽量化のための2箇所の大きなスロットにより、横方向の剛性を低下させ(以前の片持ち式スイングアームに比べて- 37%)重量を削減。スイングアームおよび鍛造リア・ホイール・アセンブリーの組み合わせにより、重量が先代モデルよりも2.7kg軽量化しました。
パニガーレV4 Sには5スポーク・タンジェンシャル・デザインを採用した、新しいアルミニウム製軽量鍛造合金ホイールが装着されています。このホイールの重量は、フロントがわずか2.95kg、リアが4.15kgです。
フロントフレームは先代モデルと比較して0.73kg軽量化され、横方向の剛性を40%低下させました。
パニガーレV4 Sに搭載されている第3世代のオーリンズ製NPX/TTX電子制御式サスペンションは、調整範囲が広がり、公道でより快適な設定を選択できるだけでなく、サーキットでもより軽快に走ることができます。同時に、油圧バルブの反応速度も向上したため、あらゆる走行状況で、より正確で精密なレスポンスが得られます。
新型ドゥカティ・パニガーレV4は、世界初のブレンボ製HypureTMフロントブレーキ・キャリパーを搭載。より軽量(ペアあたり-60g)で高性能なキャリパーは、ブレーキから発生する熱をより効果的に分散します。
さらに、ボッシュがドゥカティと共同で開発したレースeCBSシステムも重要な世界初の機能です。サーキット専用のレベルを選択すると、プロ・ライダーのテクニックを再現するストラテジーに従ってリアブレーキをかけることができるため、コーナーでブレーキング・ポイントを遅らせることが可能になります。
ドゥカティ・ビークル・オブザーバー
MotoGPでドゥカティ・コルセが開発したドゥカティ・ビークル・オブザーバー(DVO)は、モーターサイクルに作用する路面からの力と、さまざまな走行条件で耐えられる荷重を推定し、IMU慣性プラットフォームからの情報をより正確な方法で統合。 その機能の極めて高い精度により、電子制御システムをほぼ予測的に介入させます。
2025パニガーレV4には、エレクトロニクス・パッケージがフル装備されています
(ドゥカティ・トラクション・コントロールDVO、ドゥカティ・スライド・コントロール、ドゥカティ・ウィリー・コントロールDVO、ドゥカティ・パワー・ローンチDVO、エンジン・ブレーキ・コントロール、ドゥカティ・クイック・シフト2.0)。
ドゥカティ・クイック・シフト2.0システムは、ギアドラムの角度位置センサーに基づいて作動するため、マイクロスイッチが装着されていないギアシフト・ロッドを使用することが可能なりました。その結果、レバーの移動距離が短縮され、ライダーによりダイレクトなシフトフィールを提供します。
MotoGPメーターパネル
メーターパネルは完全に新しくなりました。6.9インチのサイズと8:3のアスペクト比により、フェアリングに体を伏せた状態でも、フロントスクリーンを通した視界を妨げることなく、最大限の読み取りやすさを実現します。保護ガラスには、オプティカル・ボンディング・テクノロジーが採用されており、日中でもブラックの背景を使用して、優れた視認性を確保しています。
新型パニガーレV4では、メーターパネルに新しいトラック・ディスプレイモードが設定され、デスモセディチGPに乗っているような感覚がさらに高まります。サーキット専用のモードは、ライダーが最大限のパフォーマンスを追求できるように設計されています。新しいディスプレイのサイズと「ワイド」なフォルムにより、一連の新しいパラメーターを、画面の両サイドに表示することが可能になりました。
Gメーター:コーナリング時の横方向の加速度に加え、加速・制動時の前後方向の加速度をリアルタイムで表示します。
パワー&トルク:ギアが噛み合った状態で利用可能な最大値と比較して、その瞬間に伝達されるパワーとトルクのパーセンテージを表示します。
バンク角:瞬間的なバンク角に加え、スロットル開度とブレーキにかかる圧力を表示します。
トラック・インフォモード
トラック・インフォモードでは、時系列のパフォーマンスをリアルタイムで表示できます。GPSシステムを活用して、メーターパネルにはラップタイムが表示され、またライダーが設定できる3つの区間タイムも測定可能です。
ロード・インフォモード
ロード・インフォモードは、非常にシンプルな構成が特徴で、中央には円形タコメーターが配置され、その内側にはギアポジション・インジケーターが表示されます。
ディスプレイ左側には、各種設定、ナビゲーション(インストールされている場合)、ミュージック・プレーヤー、スマートフォン管理、アクセサリーのグリップヒーター、およびその他のさまざまな機能が表示されます。
右側には、速度、時間、水温、クルーズコントロールの状態(有効になっている場合)が表示されます。
このメーターパネルは、ナビゲーションなど、現在使用している機能の視認性を最大限に高めるため、列を移動して領域を再配分し、スペース配分を動的に変更します。
ドゥカティ・データロガー
新しいドゥカティ・データロガー(DDL)を装着すると、サーキットでピットに戻るたびに新しいDDLデータを取得することが可能になります。
このシステムは、パニガーレのCANバスラインから走行に関連するすべてのパラメーターを記録し、移動軌跡を非常に正確に把握できる最先端のGPSシステムのデータと組み合わせます。
新型パニガーレV4は、シングルシーター仕様で納車され(パッセンジャー・キットはアクセサリー*として利用可能)、発売は2024年11月の予定です。
モデル情報
パニガーレV4 S
カラー:ドゥカティ・レッド、アーバングレー・フレーム、ブラック・ホイール、マットブラック・フロントフェンダー
主な標準装備
・デスモセディチ・ストラダーレ・エンジン、1,103 cc
・最高出力 216ps@13,500rpm
・最大トルク 12.3kgm@11,250rpm
・車両重量(燃料を除く):187 kg
・「フロントフレーム」シャシー
・アルミニウム製燃料タンク(容量17リットル)
・ドゥカティ・エレクトロニック・サスペンション(DES)3.0
・オーリンズ製NIX30フォーク、オーリンズ製Smart EC 3.0電子制御システム
・オーリンズ製TTX36ショック・アブソーバー、オーリンズ製Smart EC 3.0電子制御システム
・オーリンズ製ステアリング・ダンパー、オーリンズ製Smart EC3.0電子制御システム
・アルミニウム製鍛造ホイール
・リチウムイオン・バッテリー
・ブレンボ製HypureTMモノブロック・キャリパーを備えたブレーキシステム
・ピレリ製ディアブロ・スーパーコルサタリアサイズ:200/60)
・ウィング(バイプレイン構成、一体デザイン)
・6軸慣性測定ユニット(6D IMU)を備えた最新世代のエレクトロニクス・パッケージ:コーナリング機能付きレースeCBS、ドゥカティ・トラクション・コントロール(DTC)DVO、ドゥカティ・スライド・コントロール(DSC)、ドゥカティ・ウィリー・コントロール(DWC)DVO、ドゥカティ・パワー・ローンチ(DPL)DVO、ドゥカティ・クイック・シフト(DQS)2.0、エンジン・ブレーキ・コントロール(EBC)、ドゥカティ・ビークル・オブザーバー(DVO)
・コントロール・レベル変更用スイッチ
・8:3のアスペクト比を備えた新しい6.9インチフルTFTメーターパネル
・ライディングモード(レースA、レースB、スポーツ、ロード、ウェット)
・DRLとインジケーターを統合したフルLEDヘッドライト
・シングルシート仕様(パッセンジャー・キットはアクセサリーとして提供)
・ドゥカティ・データ・ロガー(DDL)とドゥカティ・マルチメディア・システム(DMS)に対応
パニガーレV4
カラー :ドゥカティ・レッド、アーバングレー・フレーム、ブラック・ホイール
パニガーレV4 Sの標準装備との違い
・車両重量(燃料を除く):191 kg
・ショーワ製44mm径フルアジャスタブル・ビッグピストン・フォーク(BPF)
・ザックス製フルアジャスタブル・モノショック・アブソーバー
・ザックス製ステアリング・ダンパー
・5本スポーク軽合金ホイール
・鉛バッテリー
主要諸元
パニガーレV4S | パニガーレV4 | ||
エンジン |
型式 | デスモセディチ・ストラダーレ 90° V型4気筒、カウンター・ローテーティング・クランクシャフト、デスモドロミック 4バルブ/気筒、水冷 | |
排気量 | 1,103 cc | ||
ボアXストローク | 81 x 53.5 mm | ||
圧縮比 | 14.0:1 | ||
最高出力 | 158.9 kW (216 ps) @ 13,500 rpm | ||
最大トルク | 120.9 Nm (12.3 kgm) @ 11,250 rpm | ||
燃料供給装置 | 電子制御燃料噴射システム、ツイン・インジェクター/気筒、フルライド・バイ・ワイヤ、楕円スロットルボディ、可変長インテーク・システム | ||
エグゾースト | 4-2-1-2 システム、触媒コンバーターX2、O2センサーX4 | ||
トランスミッション |
ギアボックス | 6速、ドゥカティ・クイック・シフト(DQS)アップ/ダウン 2.0 | |
1次減速比 | ストレートカットギア、減速比 1.80:1 | ||
ギアレシオ | 1速2.400 2速2.000 3速1.737 4速1.524 5速1.364 6速1.227 | ||
最終減速 | チェーン 520:フロント・スプロケット16T、リア・スプロケット41T | ||
クラッチ | 湿式多板 油圧式、セルフサーボ/スリッパー・クラッチ機構、セルフブリーディング・マスターシリンダー | ||
シャシ |
フレーム | 剛性を最適化したアルミニウム合金製「フロント・フレーム」 | |
フロントサスペンション | オーリンズ製 NPX 25/30 (SV) S-EC 3.0 加圧式 43mm径 フルアジャスタブル・フォーク、TiNコーティング オーリンズ製Smart EC 3.0システム、電子制御コンプレッション/リバウンド調整機構、イベントベース・モード付 | ショーワ製 43mm径フルアジャスタブルBPFフロント・フォーク、クローム・インナーチューブ | |
フロントホイール | 5本スポーク 鍛造アルミニウム合金、3.50″ x 17″ | 5スポーク 軽合金、3.50″ x 17″ | |
フロントタイヤ | ピレリ製ディアブロ・スーパーコルサSP-V4、120/70 ZR17 | ピレリ製ディアブロ・スーパーコルサSP-V4、120/70 ZR17 | |
リアサスペンション | オーリンズ製フルアジャスタブル TTX36 (SV) S-EC 3.0ユニットオーリンズ製Smart EC 3.0、電子制御コンプレッション/リバウンド調整機構、イベントベース・モード付、アルミニウム製中空対称スイングアーム | ザックス製フルアジャスタブル・ショック、アルミニウム製中空対称スイングアーム | |
リアホイール | 5本スポーク 鍛造アルミニウム合金、6.00″ x 17″ | 軽合金 5本スポーク、6.00” x 17” | |
リアタイヤ | ピレリ製ディアブロ・スーパーコルサSP-V4、200/60 ZR17 | ピレリ製ディアブロ・スーパーコルサSP-V4、200/60 ZR17 | |
ホイールトラベル(フロント/リア) | 125 mm / 130 mm | ||
フロントブレーキ | 330 mm径セミフローティング・ダブルディスク、ブレンボ製ラジアルマウント・モノブロック Hypure® 4ピストン・キャリパー、レースeCBS付き、セルフブリーディング・マスターシリンダー | ||
リアブレーキ | 245mm径ディスク、2 ピストン・キャリパー、レースeCBS付き | ||
メーターパネル | デジタルユニット、6.9インチTFTディスプレイ(解像度1,280 x 480ピクセル、オプティカル・ボンディング) | ||
寸法及び重量 |
装備重量(燃料を除く) | 187 kg | 191 kg |
シート高 | 850 mm | ||
ホイールベース | 1,485 mm | ||
キャスター角 | 24° | ||
トレール | 98 mm | ||
燃料タンク | 17リットル | ||
乗車定員数 | シングルシート仕様 | ||
装備 |
安全装備 | ライディング・モード、パワー・モード、レースeCBS、ドゥカティ・ビークル・オブザーバー(DVO)、ドゥカティ・トラクション・コントロール(DTC)DVO、ドゥカティ・ウィリー・コントロール(DWC)DVO、ドゥカティ・スライド・コントロール(DSC)、エンジン・ブレーキ・コントロール(EBC)、ドゥカティ・ブレーキ・ライト(DBL)、チェーンガード | |
標準装備 | ドゥカティ・パワー・ローンチ(DPL)DVO、ドゥカティ・クイック・シフト(DQS)アップ/ダウン2.0、デイタイム・ランニング・ライト(DRL)付きフルLEDヘッドライト、ドゥカティ・エレクトロニック・サスペンション(DES)3.0(オーリンズ製スマートEC 3.0付き)、リチウムイオン・バッテリー、コントロールユニット・レベル変更用スイッチ、ピット・リミッター、オートキャンセル式インジケーター、アルミニウム製鍛造ホイール | ドゥカティ・パワー・ローンチ(DPL)DVO、ドゥカティ・クイックシフト(DQS)アップ/ダウン 2.0、デイタイム・ランニング・ライト(DRL)付きフルLEDヘッドライト、ザックス製ステアリング・ダンパー、コントロールユニット・レベル変更用スイッチ、ピット・リミッター、オートキャンセル式インジケーター | |
オプション対応 | ドゥカティ・データロガー(DDL)、盗難防止システム、クルーズ・コントロール、タイヤ空気圧モニタリング・システム(TPMS)、USBポート*、ドゥカティ・マルチメディア・システム(DMS)*、「ターン・バイ・ターン」ナビゲーション* *:装備内容については、地域のディーラーにお問い合わせください。 | ||
メーカー保証 |
保証 | 24か月、走行距離無制限 | |
メインテナンスサービス・インターバル | 12,000 km / 12ヶ月 | ||
バルブクリアランス調整 | 24,000 km | ||
規制他 |
規制 | ユーロ5+ | |
CO2 Emissions | 151 g/km | ||
Consumption | 6.5 ℓ/100 km | ||
エミッションノート | ユーロ5+規制対応国のみ。 |
*モーターサイクルの仕様および装備は市場によって異なる場合があります。詳細は地域のディーラーにお問い合わせください。
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